【保護者向け】「AI時代、わが子に必要な力は?」〜『学びの羅針盤』という新しい道しるべ〜

子育て(親向け)

こんにちは。ときどき校長のサムです。

「うちの子、勉強はそこそこできるけど、将来が心配で…」

先日、あるお母様からそんなご相談を受けました。テストの点数は取れても、先生の指示がないと動けなかったり、自分の好きなことを見つけられなかったりするお子さんが増えていると聞きます。

AIが進化し、単なる知識の暗記はAIがこなす時代。私たちは、VUCA(不安定・不確実・複雑・曖昧)と呼ばれる、予測が難しい時代を生きています。

そんな中で、子どもたちに本当に必要な力とは何でしょうか?

文部科学省が提唱する「学びの羅針盤」は、まさにその問いに対する答えです。これは、単なる新しい学習方法ではなく、子どもがどんな時代でも「自分の力で道を切り拓く」ための力を育む、新しい教育の考え方です。

今日は、この「学びの羅針盤」がなぜ今、重要なのか、そしてその羅針盤が目指すものについて、わかりやすく解説します。


羅針盤が示す新しい学びのカタチ

実は、日本の生徒は、学力テストの成績は世界トップレベルである一方、

生活への満足度(自己肯定感)は世界的に見ても低いというデータがあります。

満足度が高い国の子どもたちは、

「放課後に友達と会話をする頻度が多い」

「教師や保護者の方々に良い支援を受けている」

「友人との交流が多い」といった特徴があります。つまり、他者との関係や、自分の居場所があるという感覚が、幸福度を高めるのです。

このことから分かるのは、これからの時代に求められるのは、単なる知識の量だけではないということです。

OECD(経済協力開発機構)が提唱する「ラーニング・コンパス(学びの羅針盤)」という、世界共通の教育指針が目指すのは、「自律した学び手」を育むことです。

羅針盤を使いこなすには、3つの力が欠かせません。

  1. 個別最適な学び: 子ども一人ひとりの興味やペースに合わせて、学びを深める力です。
  2. 協働的な学び: 友達と対話し、協力しながら、一人では到達できない新しい答えを見つける力です。これは、「学び合い、高め合う授業」に通じる考え方です。
  3. 自己調整的な学び: これは、「自分の学び方」を客観的に見つめ、計画・実行・改善する力です。

この3つの力を育むことで、子どもたちは学校の勉強だけでなく、予測困難な未来を生き抜く「生きる力」を身につけていきます。


羅針盤を動かす、たった一つの秘訣とは?

羅針盤を使いこなすための、最も重要な「鍵」は、実はとてもシンプルです。それは、子どもが「自分の学び」を意識することです。

「どうしてこの問題が解けたんだろう?」「なぜ、私はこれが面白いと感じるんだろう?」

こんな風に、自分の心と頭に問いかける力こそが、羅針盤を動かすエネルギーになります。これは、つい先日ご紹介したメタ認知能力につながります。

つまり、「学びの羅針盤」は、子どもが自分自身の「学び方」を意識するための地図であり、メタ認知能力は、その地図を読み解き、目的地へ進むための「コンパス」そのものなのです。

「でも、どうすればその力を育めるの?」

次回は、この問いにお答えしていこうと思います。お楽しみに。

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