1. 脳の回復は「親の関わり方」から始まる
こんにちは。ときどき校長のSAMです。
前回は、スマホの長時間利用が子どもの前頭前野の発達を阻害し、学力や自制心に深刻な影響を及ぼすという科学的事実をお伝えしました。
脳には「可塑性(回復力)」があるとはいえ、子どもの脳が回復に向かうための土台作りは、ご家庭、そして何よりも保護者の方々の関わり方にかかっています。
元校長として多くの親子を見てきた経験から断言します。まず、親が「良かれと思ってやっているNG行動」を見直すことが、依存状態から脱却する第一歩です。
2. 厳禁!子どもを追い詰める「親のNG行動」チェックリスト
子どものスマホ・ゲーム問題を解決しようと焦るあまり、親が感情的になったり、一方的な行動を取ったりすると、子どもの主体性や自己肯定感を損ない、問題がさらに複雑化します。
以下の3つのNG行動を、まずはご自身でチェックしてください。
| NG行動 | なぜダメなのか? |
| 🚨 NG 1:感情的な叱責 | 「いつまでやってるの!」「さっさとやめなさい!」といった感情的な言葉は、子どもの脳に強いストレスを与えます。子どもは恐怖や反発心から一時的に手を止めても、根本的な問題解決にはならず、親への信頼感を損ないます。 |
| 🙅♀️ NG 2:ルールの一方的決定 | 親が勝手にルールを決めると、子どもは「やらされ感」を抱き、ルールを破ることに抵抗を感じなくなります。依存から脱するには、子ども自身の「やめたい」という内発的な動機が必要です。 |
| 📱 NG 3:親自身がスマホを見すぎている | 親が食事中や団欒中にスマホを見ていて「あなただけはダメ」と言っても、説得力はありません。親の行動は子どもの「手本」です。子どもは親の言葉ではなく、親の行動を見ています。 |
結論:親のNG行動は、子どもに「罪悪感」と「反発心」だけを残します。
3. 元校長流!子どもを主体的に動かす「対話型ルール作り」
依存から抜け出すには、子ども自身が「なぜ制限が必要なのか」を論理的に理解し、納得することが不可欠です。感情ではなく、事実(エビデンス)に基づいて対話を進めましょう。
Step 1:子どもの意見と「なぜ」を聞く
まずは「やめなさい」ではなく、「どうしてそれがそんなに楽しいの?」と、子どもの気持ちを理解しようとする姿勢を見せましょう。
- 質問例: 「いつまでやりたい?」「やめるとき、どんな気持ちになる?」
Step 2:「脳のメカニズム」を論理的に説明する
ここで第1回で学んだ科学的な事実(前頭前野)を活用します。怒るのではなく、専門家として教えるように話しましょう。
- 説明例: 「ゲームを長くやると、考える脳(前頭前野)が疲れて、勉強が頭に入らなくなるんだよ。あなたの将来の夢を叶えるために、脳を休ませてあげたいんだ。」
- ポイント: 「ダメ」ではなく「〇〇だからダメ」という根拠を示す。
Step 3:「やるべきこと」を先にルール化する
制限時間を決める前に、「これを終わらせてからゲームをする」という「やるべきことリスト」を先にルール化します。
| 優先ルール | 内容 | 効果 |
| 1. 睡眠時間の確保 | 「〇時にはスマホを親に預け、床につく」 | 脳の疲労回復を最優先し、成長ホルモンの分泌を促す。 |
| 2. 学習とやるべきこと | 「宿題」「親から頼まれたお手伝い」を完了する。 | 責任感を育み、デジタル利用を「ご褒美」の位置づけにする。 |
| 3. 利用時間の決定 | 休憩時間や休日の利用時間について、子どもと一緒に時間を決めて書き出す。 | 子どもに参加意識を持たせ、「自分で決めたルール」として守らせる。 |
4. 依存から脱却する「代替行動」のススメ
子どもがスマホ・ゲームをやめられない大きな理由は、「暇な時間を埋める最適なツール」になっているからです。その「暇つぶし」を、デジタル以外で前頭前野を使う行動に置き換えましょう。
💡 前頭前野を鍛える「アナログな遊び」
1. 家族でのボードゲーム・カードゲーム
- 戦略を立てる、ルールを理解する、相手の出方を予測するなど、複雑な思考を要するため、前頭前野を効果的に鍛えます。
2. 読書・自然体験
- 文字を読むことで想像力(イメージ力)が鍛えられ、自然の中で五感をフル活用することで、デジタルでは得られない脳の刺激が与えられます。
3. お手伝い・料理
- 計画性や段取り(タスクの順序立て)が求められる家事・料理は、前頭前野の機能である実行機能を養う最高のトレーニングです。
親が一緒に、楽しそうに、これらの「アナログな活動」に参加することで、子どもはスマホよりも現実世界に魅力を感じ始めます。
次回予告:学校との連携と、子どもの特性に応じた関わり方
第2回では、親の行動の見直しと、対話を通じた主体的なルール作りを解説しました。
しかし、家庭内での努力には限界があります。次回の第3回【連携編】では、「学校と家庭が連携して子どもの脳と学力を守る具体的な戦略」、そして「発達特性など、子どもの特性に応じた依存への寄り添い方」を元校長の視点から深く掘り下げます。


コメント