1. 成功に必要な力:EQ(感情知能)とは何か?
こんにちは。ときどき校長のSAMです。
学力(IQ)が高くても、社会に出てから挫折してしまう人がいる一方で、「粘り強さ」や「人とうまくやる力」で成功を掴む人がいます。この成功を支える力こそが、近年、教育界で最も注目されているEQ(Emotional Intelligence Quotient:感情知能)です。
💡 EQ(感情知能)が子どもの未来を決める
EQとは、「自分の感情を理解し、コントロールする力」と、「他者の感情を理解し、共感する力」を総合した能力です。
| EQが高い子が持つ力 | なぜその能力が必要か? |
| 自制心・レジリエンス | 失敗や困難に直面しても立ち直り、感情に流されずに目標に向かえる。 |
| 共感性・コミュニケーション力 | 他者と協力し、良好な人間関係を築き、チームで成果を出せる。 |
結論:EQは、学歴や偏差値だけでは測れない、 子どもが社会で幸せに生き抜くための最も重要な土台 です。
2. 「怒り」は子どもの脳に何を残すのか?

前回のシリーズ(スマホ依存対策)でもお伝えした通り、ストレスは子どもの脳の発達に深刻な悪影響を及ぼします。
- 感情的な叱責は、子どもに強烈なストレスを与えます。
- このストレスは、自己肯定感を低下させるだけでなく、感情の制御や思考を司る前頭前野の働きを抑制します。
つまり、親が感情を爆発させるたびに、子どもは「感情を自分でコントロールする力(EQ: 感情知能)」を学ぶ機会を失い、ますます親の顔色をうかがう子になってしまうのです。
3. トレンドは「親の情動学習」— 完璧な親をやめる勇気
最近の教育トレンドでは、子どもに「創造性や好奇心」を育む教育が重視されています。これを実現するために、親がまず取り組むべきなのが「親自身の感情コントロール」、すなわち情動学習です。
私が校長時代に見てきた、自立した優秀な子の親御さんに共通していたのは、「完璧な親」をやめる勇気と、「感情を整える術」を持っていることでした。
💡 完璧主義が子どものEQを潰す
- 完璧主義な親: 常に正しい答えや完璧な行動を求め、失敗や間違いを厳しく指摘します。 子どもは「失敗は悪いこと」だと学び、新しい挑戦を避けるようになります。
- 共感的な親: 失敗や間違いを「学びの機会」と捉え、まず子どもの感情に共感します。 子どもは「自分は受け入れられている」と感じ、問題解決能力を伸ばします。
重要なのは、親が自分の感情を安定させ、子どもが安心して感情を表出できる「安全基地」になることです。
4. 元校長流!怒りを「共感と対話」に変える具体的な3ステップ
では、ついカッとなってしまう時、どうすれば怒りを鎮め、子どものEQを育む対話に切り替えられるのでしょうか?
Step 1:6秒ルールを徹底する(反射的な怒りを防ぐ)
強い怒りの感情のピークは、わずか6秒間だと言われています。反射的に怒鳴る前に、意識的に6秒間の間(ま)を取りましょう。
- 実践法: 怒りを感じたら、その場を離れる、深呼吸を3回する、または心の中で「101、102、103、104、105、106」と唱える。なぜ101…なのかというと、1,2,3,4,5,6だと速すぎて6秒になりにくいのです。その点101…だと怒りの中でも6秒間を確保できるのです。
Step 2:「感情のラベル付け」で共感力を高める
子どもが泣き叫んだり、物を投げたりしたとき、まずその行動を止めようとせず、子どもの感情に「名前」をつけて共感します。これは、子どもに「自分の感情は認識されている」という安心感を与えます。
| NGな声かけ | EQを育む声かけ(感情のラベル付け) |
| 「泣くんじゃない!」「いい加減にしなさい!」 | 「〇〇ができなくて、すごく悔しかったんだね。」 「今はとても悲しい気持ちなんだね。」 |
ポイント: 感情の背景にある「なぜ」を理解しようとすることが、子どもの自己理解を助けます。
Step 3:「親の感情」も論理的に伝える
怒りを抑え込んだままでは、親自身が疲弊します。怒鳴るのではなく、「I(アイ)メッセージ」を使って、親の感情と理由を論理的に伝えましょう。
- 伝え方: 「私は(I)、あなたが宿題をしないと(行動)、将来困るんじゃないかと(感情)心配になるよ。」
- 効果: 親が感情を隠さず正直に伝えることで、子どもは「感情はコントロールして伝えられるものだ」と学びます。
5. 子どものEQを伸ばす「学びの機会」をデザインする
感情知能の高い子どもは、将来、困難にぶつかっても挫折せず、他人と協力して問題解決に当たる能力が高いことが示されています。
家庭でEQを伸ばす「学びの機会」を提供しましょう。
- 失敗を歓迎する雰囲気:子どもが何か失敗したとき、親が笑って「面白いね!次はどうすれば成功するかな?」と一緒に考える習慣をつけましょう。失敗を恐れない心が育ちます。
- 物語を通じた感情学習:絵本や物語を読み聞かせるとき、「この主人公は今、どんな気持ちだろう?」と問いかけ、他者の感情を想像する時間を持ちましょう。
- 役割交代ゲーム:親子の間で役割を交代し、親が子どもの立場になって大げさに困ってみせる、などの遊びを取り入れます。これにより、子どもは他者の視点に立って物事を考える共感力(EQの核)を楽しく養うことができます。

結論:まず親が「感情の教師」になろう
親が自分の感情をコントロールし、子どもに共感的に接する姿勢こそが、子どもの脳に「最高の感情知能」という財産を与える唯一の方法です。
「完璧な親」を目指す必要はありません。「感情の先生」として、今日から一歩ずつ、お子様との対話を変えていきましょう。


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